基礎研究班

目標:現状の問題点や限界を打破する研究

臨床から基礎、基礎から臨床にfeed backできる視点を失わず、他の診療科や基礎教室あるいは国内海外の大学と積極的な連携を図って、最先端研究を行います。医局員は現状の医療が100%ではないことを常に意識して、未来に向けた臨床・基礎研究を行います。

日常の臨床における疑問点を出発点とし、リサーチカンファレンスでこれからの医療の発展となる研究テーマについて話し合っています。そして最終的には基礎研究で得られた知見を臨床に還元することが目標となります。

実験室

2010年に波呂教授のもと新しい整形外科の実験室が完成いたしました。細胞培養実験室と分子生物学実験室の2部屋を使い、大学院生、実験助手さんとともに日々の実験を行っております。動物実験に関しましては、山梨大学医学部の動物実験施設を使用しております。

研究テーマ:椎間板ヘルニアの自然退縮における分子細胞メカニズムと、およびその周囲環境について

背景:腰痛は生涯罹患率が60から80%にのぼり、発症頻度が極めて高い愁訴であり、その40%は腰椎椎間板ヘルニアが原因です。腰椎椎間板ヘルニアの病態は、正常椎間板内の含有水分量の低下により本来の弾力性が喪失し、椎間板の硬度が増す変性が基盤となる。この変性椎間板が脊柱管に突出して、神経根や馬尾を圧迫し、腰痛や下肢痛などの神経症状を発症します。腰椎椎間板ヘルニアを保存的に経過観察すると、症状の改善に伴い脊柱管に脱出したヘルニア塊が自然に退縮することがわかっています。このことは日常診療で我々がヘルニアをすぐに手術せずに保存的に治療する根拠となっています。

マウスに麻酔をかけ顕微鏡下に椎間板を摘出

マウスに麻酔をかけ顕微鏡下に椎間板を摘出

これまで我々はマウスの椎間板を用いて椎間板ヘルニアにおける炎症期の反応メカニズムと椎間板退縮に関わるサイトカインの関連を報告してきました。炎症サイトカインのTNF-αに注目し、椎間板ヘルニアにおいてTSLPが内因性に発現し、PI3/AKTを介してMCP-1を発現させていました。TSLP誘導MCP-1によってMφが遊走、TNF-α誘導MMP-3によってMφの浸潤が促され、椎間板ヘルニアの退縮に重要な役割を成すことを報告しています。また、TNF-α刺激によって椎間板よりVEGFが発現することも椎間板ヘルニア退縮メカニズムに関与することを報告しています。

また、椎間板変性についてはTNF familyであるTWEAK/Fn14シグナルが椎間板にNF-kBを介してMCP-1やMMP-3、VEGFを発現させ、椎間板変性の一因となっていることを報告しています。さらに、加齢に伴ってこの反応性は減少することも報告しています。炎症とMCP-1、MMP-3は椎間板においてヘルニア退縮、変性ともに重要な役割を成していると考えられます。