学会参加記

脊椎脊髄病学会学会参加記

大学 M . K

2023年4月13日から15日にかけて札幌コンベンショナルセンターにて開催された第52回日本脊椎脊髄病学術集会に参加させていただきました。

参加登録のために脊椎脊髄病学会のホームページを開くと我らが波呂教授の写真がまず目に入り、自分たちが大変ご高名な先生のもとで勉強させていただいているということを再認識しました。

脊椎脊髄病学会学会参加記

コロナにより学会の現地参加は数年ぶりとなり、久しぶりの飛行機に心躍らせながら、札幌へと向かいました。会場に入ると参加者の多さ、会場の規模に圧倒されました。

思い返せば、2019年、入局1年目で初めて訪れた学会も脊椎脊髄病学会でした。そのときは主幹で忙しくされている先生方をみて大変だなあと思うだけで右も左もわからないまま参加していましたが、改めて考えるとこの規模の学会を開催するというのは大変な準備と労力が必要であったであろうと感じました。

今回の学会でも脊椎領域の奥深さを実感する発表、講演が多く、他大学の脊椎外科医の熱意に触れ、今後のモチベーションを上げることができました。

夜はジンギスカン、海鮮、ラーメンなど北海道の味覚を堪能することができ、楽しい時間を過ごすことができました。何より前日の夜どれだけ楽しもうが、翌日完璧な発表、答弁をする先輩方を見て、これが整形外科医というものかと感嘆いたしました。

大変充実した学会参加となりました。今回の経験を今後の臨床に活かしていけるようさらなる努力を続けたいと思います。

脊椎脊髄病学会学会参加記

第28回脊椎インストゥルメンテーション学会参加記

白倉 翔平

2019年11月15日から11月16日にかけて,つくば国際会議場で第28回脊椎インストゥルメンテーション学会が開催されました.15日の午前から発表があった為,前日入りでの参加となりました.つくばまで電車で向かったのですが,初めて乗るつくばエクスプレスのスピードや混雑具合に驚かされながら現地に到着しました.到着日は同期・先輩の先生方とあんこう鍋を食べに行き,初めて訪れたつくばの地を堪能することが出来ました.翌日より学会が始まり,私は成人脊柱変形のセッションにて「成人脊柱変形におけるdual rodの適応の検討」の演題で発表させていただきました.学会発表自体は,以前にも東日本整形災害外科学会等でさせていただいたことがありましたが,その際の演題は症例報告であった為,今回のような多症例のデータを検討した発表は初めてでした.抄録やスライドの作成においては非常に苦労しましたが,多くの先生方のご指導のおかげで,なんとか形にすることができました.発表時にフロアの先生方からいただいた質問内容等も,臨床の手術経験に基づいた質問であり,なかなか上手に答えることが出来ない点もありましたが,非常に勉強になる事柄が多数あった為,貴重な経験となりました.自分自身の発表は初日の昼に終わった為,それ以降は肩の荷が降り,気楽に学会を楽しむことが出来ました.同大学の諸先生方が堂々と発表している姿を見て大変感銘を受け,今後は自分もそうなりたいと感じました.他のセッションでも様々な公演を行なっておりました.脊椎インストゥルメンテーション学会というやや専門的な内容の多い学会ではありましたが,半年間大学の脊椎班で学ばせていただいた事柄をもとに,他の公演からも沢山学ぶことがあり,実りの多い学会となりました.学会参加は準備が大変ではありますが,学習する良いきっかけとなり,ありがたく感じております.また開催地によって様々な地へ行くことができる為,その点も魅力的です.

最後に,今回の学会参加につきまして教授をはじめとした先生方にお礼を申し上げます.今回の経験を,これからの診療に活かしていきたいと思います.

■受賞報告■
第59 回関東整形災害外科学会でBest Review Award を受賞して

谷口 直史

平素より大変お世話になっております。2019 年3 月22 日~23 日に東京で開催された第59 回関東整形災害外科学会でBest Review Award を頂きましたのでご報告いたします。Best Review Award は今回より採用されたaward です。肩・腫瘍、股関節、脊椎、手・リウマチ、膝・足の5 領域ついて、本学会メンバー全26 大学に全領域中1つのテーマが与えられます。股関節領域は本学、東京医科大学、自治医科大学、横浜市立大学、順天堂大学の5 大学でした。各領域1題にaward が与えられます。

山梨大学に割り当てられたテーマは「人工股関節全置換術とトラネキサム酸」であり、小生が担当させていただきました。Review の経験はなかったのですがreview 論文に採用されている論文を中心に65 編を読み、手探りでスライドを作成しました。トラネキサム酸についての評価は投与方法・量・時期・回数・方法の効果比較・経済性など多くあるため10 分間の中で分かりやすく記載することに努めました。予演会では波呂教授や市川先生をはじめ医局の先生方からアドバイスを頂き、大変有難く感謝しております。

トラネキサム酸は岡本夫妻により1962 年に日本で開発された薬です。当科では2012 年ころからTHA 手術時にトラネキサム酸投与を開始し、臨床研究・発表を行ってきました。今回の発表内容からトラネキサム酸についてのコンセンサスを少し紹介します。トラネキサム酸の特徴の一つには正常血管には作用しない特性があり、血栓症発生率を上昇させない一つの要因と考えられます。投与方法には静脈投与(静注・点滴)、局所投与、内服投与、併用(静脈投与+局所投与)があります。臨床上十分に有効とされている投与方法・容量は、手術開始直前にトラネキサム酸1g もしくは10~15mg/㎏の静注です。局所投与も有効な方法で、ドレーンクランプ法や局所注入などがあります。局所注入はトラネキサム酸2-3gを生食150ml と混ぜ、寛骨臼・大腿骨内や関節周囲に分注します。内服投与の有効性についての報告は2 年ほど前から増えてきました。トラネキサム酸2g 内服を術前2 時間・術後6時間・12 時間などと複数回行います。

ここ数年間当科ではTHA 術前にトラネキサム酸1g 静脈投与により自己血・同種血輸血無しで手術を行えています。トラネキサム酸は非常に安全性が高く、出血抑制効果に優れた薬であるといえます。

第48回脊椎脊髄病学会学術集会開催記

江幡 重人

はじめに

第48回脊椎脊髄病学会は2019年4月18日から2019年4月20日の3日間パシフィコ横浜で開催された。天気にも恵まれ、春らしい清々しい陽気で絶好の学会日和であった。本学会は脊椎外科領域では最大の学会であり毎年多くの参加者があるが、今回は利便性の良い横浜ということもあり史上最高の2597名の参加者があった。今回、パシフィコ横浜で開催されたが、脊椎脊髄病学会がパシフィコ横浜で開催されたのは初めてであり、少し意外な感じがした。脊椎脊髄病学会学術集会は毎年大きくなり、また会場の確保も難しいこともあり、日整会と同様、開催場所が指定されるようになった。今回パシフィコ横浜での開催になったのも、私達主管校が決めたのではなく波呂会長が決定する前に学会により既に場所は確保されていた。また国際委員会を中心に学会の国際化にも力を入れており、海外からの招待者が10名にのぼり、その他海外からの参加者総数も80名(学術集会および国際委員会招聘の招待者含む)であった。

開催前日

評議員会はいつも整然と行われるが、お互い気心も知れていることもあり遠慮なく発言が飛び出し、山梨大学の規模に見合わない資金を準備したことや学会のテーマが『事上磨錬』であったが、このテーマの意味がよく分からないなど遠慮なくご指摘を頂いた。夕方横浜ベイホテル東急で開催された晩餐会では会長に続いて、中村学会理事長、島田学長が挨拶された。その後四宮東京医科歯科大学名誉教授が乾杯のご発声をされた。料理は評判がよく、出席者の多くが非常に満足されていた。益山同門会長に中締めのご挨拶をいただき、その後横浜港内のクルージングがあり、参加者は夜のみなとみらいの素晴らしい眺めを堪能していた。

開催概要

今回の全登録演題数は1603題であり、アジアを中心に海外からの応募も57題あった。応募はアジアのほかイギリス、フランス、イタリア、メキシコからもあった。アジアでもサウジアラビアやネパールから応募があったことは驚いた。ただ韓国整形外科学会(韓国版日整会)と日程が重なり、韓国から少数であったのは残念であった。主題と一般演題の採択率は67.3%であった。教育研修講演13題、シンポジウム2題、Expert Technical Note4題、 主題14題であった。今回の会場は計10会場であり、史上初の2桁の会場数になりかつてない大きな規模となった。第3会場は海外参加者向けに3日間ともすべて英語で行い、同会場で行われたシンポジウム2もすべて英語で行われた。教育研修講演も10演題は海外招待演者によるものであり、アジアを中心とした国際化を目指す学会の方針にある程度答えることができたと考えている。

文化講演ではサントリーHDの輿水精一様に『日本のウイスキー 世界一への道』というタイトルでご講演していただいた。日本のウイスキーの原点である『山崎』について、スコットランドと異なる独自の樽醸造法や日本のウイスキーが世界にどのように認められていったかなど興味深い講演であった。シンポジウムでは最近治療法が大きく発展している成人脊柱変形を取り上げた。主な治療法でLLIF(椎体間側方固定術)と椎体骨切りをどのように適応していくかなど議論された。スポンサーセミナーはハンズオンを含めると39題になり、ほぼ日整会に匹敵する規模であった。Expert Technical Noteは今回新しく取り入れた企画で、一つのテーマに沿ってその道のエキスパートが手術ビデオなどを提示しながら講演を行うというものであった。とても好評で1000人以上入る第一会場に立ち見が多数出てしまうほどの盛況であったが、東京への人口一極集中ではないが主催者としては他の会場の入りが心配になった。事実、発表の関係者がいるだけのような部屋も出てしまい、苦労してデータをまとめしっかりと準備して発表していただくのに申し訳ない心境であった。企画が当たったのは良かったが、一極集中は予想外のことであり、十分に対応できなかったことは申し訳なかったと思っております。またExpert Technical Noteの発表はビデオが中心の講演であり英語スライド、日本語講演で行われた。海外の方にも参加いただけるようにと日本語から英語への同時通訳を準備した。どの程度周知できたかわからないが毎回10名前後ではあるが海外からの方も参加していただけた。

ポスター会場にも人が多くあふれ、ポスター掲示の間隔が今まで通りでは狭いくらいであった。また会場内にはおもてなしコーナーと題し山梨色が出るように工夫を行い、ワイン、信玄餅、食べるブドウの飲料、ヨーグルト飲料など試食ができる販売が行われ多くの人が列を作り好評であった。

山梨大学医局の発表

同門から16題の発表があった。会長講演、シンポジウム1題、スポンサーセミナー1題、主題6題、一般演題7題であった。信州大学から国内留学で私たちの仕事を手伝ってくれた大場悠己先生も山梨大学で臨床研究を行ったデータを発表してくれた。波呂会長は会長講演でヘルニアの研究や山梨で行ったアルプス浜名湖の3大学共同研究について講演された。シンポジウムでは大場哲郎先生がGAPスコアを用いた術式の課題について講演された。スポンサーセミナーで私が成人脊柱変形の最前線について、山梨大学整形外科脊椎班で取り組んできたテーマについて講演した。主題では大場先生と勝先生が、一般演題で大場先生、小田先生、田中先生、辰野先生が発表した。その他アルプス浜名湖の共同研究から2題発表があった。いずれも先端的研究であり、会場から多くの興味を持たれ活発な討論が行われていた。

おわりに

無事閉会式が終了し無事安堵した。このような大きな学会を規模の大きくない当教室が開催することに当たり心配する声もあった。ただ他大学の多くの先生がそれを理解し協力していただけた。無事学会を終了することができご協力並びに参加していただいた先生方に御礼申し上げます。また学会に参加せず大学や各関連病院で留守をしていただいた方々にも深謝申し上げます。

24th World Congress on Advances in Oncology
学会賞受賞報告

安藤 隆

この度、2018 年9 月20~22 日にアテネ(ギリシャ)Metropolitan Hotel で開催されました。第24 回 World Congress on Advances in Oncology に参加し、多くの皆様の御指導のおかげをもちまして、学会賞( RECIPIENTS OF THE AWARDS OF THE BESTPRESENTATIONS)を受賞することができましたので、ご報告させていただきます。SPANDIDOS PUBLICATIONS というInternational Journal of Oncology をはじめとする9 つの英文雑誌を発行する団体があり、本学会は、その団体の学術集会にあたるものであります。また、この学会は毎年ギリシャで開催されておりますが、ヨーロッパのみならずアメリカ、アジアからも多くの研究者が参加されており、各々の発表に非常に刺激を受ける場となりました。

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今回、発表させていただいたのは、「Cold plasma-stimulated transfusion (PLAST) induces necroptosis in murine and human osteosarcoma cell lines.」の題名で、以前より、日本大学の鈴木先生との共同研究であるCold plasma-stimulated transfusion (PLAST)の骨肉腫細胞に対する抗腫瘍効果の検討を行ったものであります。プラズマという言葉はなんとなく耳にすることはあるものの、実際にはどんなものであるかがイメージしにくいかもしれません。物質には、固体、液体、気体の三つの状態(三態といいます)がありますが、プラズマはその第4番目の状態のことで、気体分子が電離して、陽イオンと電子に分かれて一緒に運動している状態を指します。高いエネルギーを持ち、高温、高圧(例 太陽コロナなど)や真空(例宇宙空間)での生成がよく知られています。地上では、火炎、雷、オーロラ等にその存在を見ることができます。

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最近では、プラズマ液晶TV やプラズマクラスター空気清浄機などで一般にも知られてきています。近年医療分野においても止血・血管新生・臓器癒着防止などの研究が報告されております。我々は、以前にプラズマを腫瘍細胞に直接照射することなく、プラズマ活性化培養液でも抗腫瘍効果のあることを報告しました。今回の発表では、アポトーシス抵抗性の骨肉腫細胞株に対しプラズマ活性化培養液がネクロトーシス様細胞死を誘導すること明らかにしました。細胞死は従来、アポトーシス(プログラム死)、オートファジー(自食)とネクローシス(壊死)と分類されてきたが、プログラムされたネクローシスとして2005 年にDegterev らが“ネクロトーシス”と命名し新しい細胞死を定義しました。2008 年に彼らは、RIPK の活性化に依存してネクロトーシスが起きることを報告しております。本実験において、骨肉腫細胞にネクロトーシス制御分子であるRIPK1/RIPK3 が発現していること、また、プラズマ活性化培養液によりそれらがリン酸化

学会が開催されたアテネはギリシャの首都であり、守護神アテナ女神を祀ったアクロポリスの丘に建つパルテノン神殿(アテネの全盛期、紀元前438 年に完成)。その他、古代ギリシャの遺物の宝庫、国立考古学博物館、第1 回近代オリンピックが開催されたオリンピック・スタジアムやゼウス神殿などがあります。ギリシャの位置は、地中海を隔てたイタリアの南東に位置し、気候は一年を通してほとんど雨の降らないようです。直行便はなく、山梨から現地のホテルまで30 時間ほどの行程となります。アメリカなどと比較すると物価はかなり安く、観光地でありながら、食事、タクシー、水などはかなりリーズナブルでありました。食事は、地中海の魚介類を使用したものが多く、とても美味しくいただきました。イタリアが近いこともあり、イタリア風の料理店もあり、パスタ、ピザなど、非常に素晴らしかったです。

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第31回 日本創外固定・骨延長学会
第43回 日本足の外科学会

藤巻 太郎

今年度より大学院生となり、臨床から離れ日々基礎研究に励んでおります藤巻太郎です。4月から細胞やネズミなどを相手にする日々に戸惑うことばかりですが、安藤先生の指導の下、足りない頭を振り絞りながら小さく1 歩ずつ進んでおります。

2018 年後半で諸先生方の計らいにより基礎学会含め、私はいくつか学会に参加させていただきました。臨床の学会ではありますが発表も2 つさせていただきました。

第31回 日本創外固定・骨延長学会 第43回 日本足の外科学会-01
第31回 日本創外固定・骨延長学会 第43回 日本足の外科学会-02

まず、2018 年8 月2~3 日に青森県弘前市で開催された第31 回日本創外固定・骨延長学会で「糖尿病性神経障害を伴う足関節骨折の治療経験」を口演で発表しました。発表は反省点も多いものとなりましたが、外傷・変形矯正・偽関節・感染など様々な創外固定の有用性に触れることができました。また開催時期がねぷた祭り(青森では“ねぶた”ですが、弘前では“ねぷた”と言い、少し形式が違うようです)に合わせていたこともあり、若生先生お誘いの下、懇親会がてら千葉こども病院の先生方と祭りへ参加してきました。その千葉こども病院には同世代の異なる大学(東京女子医科大学、千葉大学、北里大学)が研修されており、日常診療や今後の進路など多くのことを話もでき大変刺激を受けました。11 月1~2 日に千葉県木更津市で第43 回日本足の外科学会で「腓骨神経麻痺による下垂足に対して新しい腱移行術(Vigasio 法)を施行した1 例」をポスターで発表しました。

Vigasio 法は下垂足手術の原法にアレンジを加えたもので、原法で対応しきれない困難症例もカバーできるというメリットがあります。検索する限り国内ではまだ報告されていない方法ですが、発表時間が2 分という短い時間で、どれだけ理解してもらえるように伝えるかということが課題でした。実際発表の反響はよく、原法で悩まれている他院の先生が興味を示して下さり、発表の手応えを実感するものとなりました。

順番が前後しますが、2018 年10 月11~12 日に奈良で第33 回日本整形外科学会基礎学術集会に参加してきました。自分の発表はありませんでしたが、研究している分野も含め基礎と言いながらも内容の幅広さ・深さに圧巻させられました。それぞれ分野や参加形式は異なりますが、学会へ参加する意義を考える良い機会になりました。

第31回 日本創外固定・骨延長学会 第43回 日本足の外科学会-03
第31回 日本創外固定・骨延長学会 第43回 日本足の外科学会-04

山梨という狭い環境の中で外の世界に触れ刺激を受けることで気づかされるものは多くあります。大きな学会から小さな勉強会まで様々ありますが、少しでも吸収できるよう、時間の許す範囲で参加をしようという意欲が以前より沸いた気がします。

発表に携わっていただきました若生先生を初め、学会参加へご配慮くださいました先生方、この場を借りて御礼を申し上げます。学会で得られた経験を今後に生かせるよう努力してまいりたいと思います。今後ともご指導の程よろしくお願い申し上げます。

第21回 日本低侵襲脊椎外科学会 学会奨励賞を受賞して

大場 哲郎

今回このような賞を受賞させていただき、大変光栄に思います。本学会は、「脊椎手術をいかに安全で低侵襲に行うか」をテーマとしており、2015 年には江幡先生が会長をされた学会でもあります。そのため山梨大学から本学会にアピールできたことを大変うれしく思い、ご指導ご協力いただいた先生方に大変感謝しております。

論文の内容を紹介させていただきます。当院では2012 年頃から少しずつ脊椎インストゥルメンテーション手術にO-arm イメージングシステム®を導入、経皮的椎弓根スクリュー固定に術中O-arm ナビゲーションを使用してその有用性を検討してきました。当初はスクリューの刺入精度に着目し、イメージを使用していたころと比較して逸脱率を飛躍的に低減できることを報告しました。今回の論文はその延長線上になります。経皮的椎弓根スクリューが術後に緩むことがあり、これは術後腰痛の一因であることがわかったために緩みのリスクファクターを解析しました。その結果O-arm ナビでは、単にスクリューの精度だけではなくその軌道を選ぶことが可能であり、スクリューの挿入角度を大きくしたり、皮質骨にスクリューをかませたりすることでスクリューの引き抜き強度が上昇し、ゆるみのリスクを低減できることがわかりました。

今回の成果は、O-arm 導入初期のさまざまな苦労があってこそだと思います。購入への御尽力は当然のことながら、撮影やナビゲーションとの連動がうまくいかず、手術時間が大幅に長くなってしまっていた時期もあると聞いています。放射線技師さんやME さんとのサポート体制を確立してくのも大変だったと思います。私は今回の受賞から、現状の手術手技や治療方法に満足することなく、変化や導入初期の苦労を恐れずに、安全、患者さんのためとなることを最前提として、よいと思われるものは可能な限り導入してく大切さを感じました。

第33回 日本整形外科学会基礎学術集会 参加記

髙山 義裕

この度、2018年10月11日・12日に奈良春日野国際フォーラム・東大寺文化センターにて開催されました、第33回 日本整形外科学会基礎学術集会に参加いたしましたので、ご報告いたします。

本学会は日本整形外科学会の主要学術集会の中で、基礎研究を中心とする学会であります。自身の専門分野はもちろん、専門外の多種多様な研究発表はどれも素晴らしく大変刺激となりました。

第33回 日本整形外科学会基礎学術集会 参加記

私は椎間板のセッションにて「マウス椎間板におけるthrombin/PAR1シグナルによるMCP-1発現及びマクロファージ遊走能の検討」の演題で発表をさせていただきました。同セッションの他の先生方とも治療応用への展望を含め有意義なディスカッションができました。同門からは、齋藤正憲より骨腫瘍のセッションにて「血小板由来TGF-βはsmad3を介して骨肉腫細胞の組織因子発現を誘導する」の発表もありました。

学会が開催された奈良は古都として有名な土地であり、会場はかの東大寺のすぐそばであり、周辺では当たり前のように町のいたるところで鹿をみかけました。夜になると、静けさと歴史をすぐそばに感じることができました。奈良という神聖な空間で学会発表が出来たことは、何か特別な活力を得ることが出来たと思われます。

第33回 日本整形外科学会基礎学術集会 参加記

最後に、教授をはじめとした教官の先生方、留守を引き受けてくださった同門の先生方、病棟スタッフの方々にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。今回の学会参加を通じ、得られたことを臨床、研究に活かしてゆきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

第91回 日本整形外科学会学術総会 参加記

重橋 孝洋

梅雨明けの暑さはひとしおに感じられますが、皆様お元気でお過ごしのことと存じます。

2018年5月24日~5月27日に第91回日本整形外科学会学術総会@神戸に行ってきました。私は昨年の仙台に引き続き、今回日整会は人生で2回目の参加となります。昨年の準備不足を教訓に今年は事前参加登録あり、単位事前申請も綿密なスケジュールを立て、宿もばっちり確保してからの参加となりました。

第91回 日本整形外科学会学術総会 参加記

今年の学会は、諸先輩方の発表もたくさんあり、堂々と発表している姿をみて感銘を受けました。特にシンポジウムは会場も大きく、画面で発表者が拡大されて映し出されており迫力満点でした。教育講演では普段外来で診療していて疑問に思っていた痒い所に手が届くような講演が多く、さらに系統だって学ぶことができました。ポスター会場もブラブラとみて回りましたが、知らないことや、日常診療で同じように困った症例もあり、とても参考になりました。

また今年は山梨大学から研修医や学生のたくさんの参加もありました。研修医や学生も真剣な眼差しでポスター発表をみていました。少しでも整形外科に興味をもってくれたら嬉しいです。そして後輩になってくれるとなお嬉しいです。日中の学会プログラムが終了すると夕方から学生、研修医と諸先輩先生達と毎晩飲みに行きました。勉学から将来についてお互いに語り合いました。  最後に現在働いている富士川病院の先生方やスタッフの皆様から、このような貴重な機会を与えて頂き感謝申し上げます。

第91回 日本整形外科学会学術総会 参加記

写真:上)ポスター会場、下)姫路城

第7回 アルプス浜名湖スパインセミナー 参加記

岩間 達

2017年7月22日山梨県河口湖の富士レークホテルで第 7 回アルプス浜名湖スパインセミナーが開かれた。セミナー自体は午後からなのだが、午前中に親睦(?)サッカーが開かれた。?が入ったのには理由がある。PK までいった試合結果で納得していない人がいたからである。情報交換会で侃侃諤諤やっていた。情報交換会では皆の前で自己紹介するという度胸試しがある。今年度入局した古屋先生はビール瓶の一気飲みという元ラグビー部、元相撲部らしい特技を披露し、重橋先生は真面目な感じで今後の発展が期待される。

さて、セミナーですが、波呂教授の開会宣言の後、まず江幡先生が多施設前向き研究の説明をされ、on goingプロジェクトの報告会となった。最初は現在当院へ国内留学中の大場哲郎先生の弟、大場悠己先生が椎体間固定後のfake unionを発表し、癒合しているのかいないのか、術後の癒合時期や各医師間での判定基準の違い、骨嚢胞など議論が盛り上がった。その後 2 つ報告があり、症例検討となった。ここでも大場悠己先生が頚椎症の後方固定手術症例を質問形式も取り入れて発表された。術前計画や椎骨動脈損傷について議論が盛り上がった。その 1 題後、岩間が透析破壊性脊椎関節症に伴う歯突起骨折、歯突起後方偽腫瘍について発表した。

続いては「Hip-spine syndrome 温故知新」と題して佐賀大学の森本忠嗣先生、「マテリアルサイエンスに基づく脊柱変形矯正」と題して北海道医療センターの伊藤学先生が特別講演をされた。森本先生は九州の整形事情から佐賀大学の脊椎の現状から始まり、関節が強く脊椎が虐げられているとぼやいて終わる…ずっとぼやいていたわけではありませんが、関節もできる脊椎外科医として講演された。脊椎症例を集めるため九州でも多大学による研究が始まったとのことだった。質疑では脊椎の強い浜松医大の松山教授からまずは脊椎の後弯を治さないと臼蓋の前傾が変わってしまうという熱い意見が出された。伊藤先生はロッド折損の原因として曲げたところが弱くなると話したことが印象的でした。曲げなくてよいロッドなど今後の開発が望まれる、とのことです。

第7回 アルプス浜名湖スパインセミナー 参加記

第7回と続いている当セミナー、三大学共同研究も結果が出始めている。親善サッカーも始まった。九州に負けないように今後も発展をしていって欲しい。

写真:河口湖駅にて

第26回 日本脊椎インストゥルメンテーション学会 参加記

勝 麻里那

2016年3月に大場先生より「筋肉の断面積を計測する,面白い論文があるのだけど」と声をかけていただいてから,椎体骨折患者や成人脊柱変形患者の体幹筋を計測する日々が始まりました。最初は「こんな計測で発表なんてできるのか?」と疑りながら何十,何百枚の MRI 画像と格闘していました。近年、サルコペニア・ロコモティブシンドロームが注目を集める中で,脊椎疾患において,筋肉量と姿勢が関連する,骨密度と相関する,治療成績に影響するなどの報告が徐々に増えてきており,非常に興味深い分野であることに気づきました。

さて今回は,2017年10月13日,14日に金沢で開催された第26回日本脊椎インストゥルメンテーション学会へ参加させていただきました。発表は例のごとく筋肉関連で「成人脊柱変形における体幹筋と脊椎アライメントの関与」という表題で発表させていただきました。筋肉断面積だけでなく,その脂肪変性が脊椎 global alignment に影響しているのではないかという発表です。筋肉についての画像解析やDEXAなどによる計測は注目されてはいるものの,まだまだ解明されていない面が多く,学会会場では異色を放っている分野です。しかし,物珍しさも手伝ってポスター発表にも関わらず,思いのほか多くの先生方に発表を聞いていただくことができました。ご高名な先生にも発表後にまで深く質問していただき,私も大変参考になり,知識が深まりました。

自身の発表以外にも,日常診療で気づくべき点や稀少な疾患,術式など,大変参考になりました。入局当初と比べて,現在の自分の診療にいかに役立てることができるかと考えながら参加できるようになり,少しは成長できているのではないかと多少の自信を持つことができました。

4月から大学を出て富士川病院へ勤務するようになり,学会参加で多くの先生方とゆっくりお話しする機会ができる楽しさを痛感しました。昨年まで大学でご指導いただいた先生方だけでなく,関連病院の先生方,アルプス浜名湖スパインセミナーでの交流のある先生方(名前が思い出せない方もいましたが・・)など,お相手していただき嬉しかったです。ありがとうございました。

学会発表は毎回良い刺激をもらうことができます。今回学会に参加させていただいた中でも,自分が行っている筋断面積・脂肪化の解析は今後,様々な分野で役立てることができるのではないかと考えています。普段の診療の合間でしか取り組むことができませんが,「人工関節置換の長期成績にこの筋肉が関与しているのではないか」とか「この運動を行った人と行っていない人で,ここの筋肉量が変わるのではないか」など,解析のネタとなるものがあれば参考にさせていただければと考えております。ご指導よろしくお願いします。

第26回 日本脊椎インストゥルメンテーション学会 参加記

写真:金沢おでんを満喫する先輩医師たち

第46回 日本脊椎脊髄病学会 参加記

辰野 力人

第 46 回日本脊椎脊髄病学会が、平成29年4月13日から15日にかけて札幌で開催されました。到着初日、翌日は 4 月でしたが季節外れの雪が降っていました。会場からホテルまで歩いて帰ろうと思いましたが 50mほどで吹雪いてきてしまい、耐え切れずすぐさまタクシーに飛び乗りました。学会後半は快晴で少し暑いくらいで寒暖差の激しい学会となりました。学会の合間には北海道の新鮮な魚介類やジンギスカン、味噌ラーメンを食べに行きました。秋田大学整形外科の島田洋一教授主催のもと、全員懇親会ではサプライズゲストに秋田県出身タレントの壇蜜さんが登場し、会場をおおいに沸かせていました。

当教室からは波呂教授がイブニングセミナーにて『骨粗鬆症によって生じる脊椎疾患の診断と治療戦略』、シンポジウムにて『脊椎脊髄外科専門医試験問題の実施と研修施設認定』、江幡准教授がシンポジウムにて『Hybrid 法(LIF+後方 open 矯正)―PPS との比較―』、主題にて『仰臥位と側臥位での腹部の解剖学的特徴の違いの検討―LLIF を安全に行うために―』、口演にて『成人脊柱変形手術における腸骨スクリューの効果について―片側2本使用する利点はあるか―』、『黄色靭帯肥厚の程度の違いによる LLIF の間接除圧効果』、ポスターにて『大腰筋の筋電図マッピングは大腿前面症状を減少させるか』、大場先生が口演にて『成人脊柱変形患者における逆流性食道炎の罹病率とリスクとなる骨盤脊柱パラメータの解析』、『骨粗鬆症性椎体圧骨折の術後生存率と生命予後不良因子の検討』、『拡散イメージング手法NODDI を用いた頚髄症性脊髄症の機能評価―重症度の定量化および術後回復予測について―』、芦沢先生がポスターにて『成人脊柱変形手術における腸骨スクリューのゆるみのアライメントへの影響』、勝先生がポスターにて『骨粗鬆症性椎体骨折における体幹筋の委縮・脂肪変性と治療予後への影響』を発表され、活発な議論が行われました。

第46回 日本脊椎脊髄病学会 参加記

『サイエンスに基づく脊椎脊髄外科の進歩』というメインテーマで興味深い発表が数多くありました。中でも私が興味深かったのは、成人脊柱変形についてのセッションでした。今回は残念ながら不採用でしたが、私は昨年より腰椎側方椎体間固定術を併用したASD矯正固定術後の前縦靭帯損傷に対する術前リスク評価と骨癒合をテーマに学会発表をしています。発表を聴いていますと、数多くの先生方が合併症に対し、悩まれ、様々な工夫をしており、熱い議論が行われていました。発展途上の分野ではこういった議論を重ねよりよい方向へ進んでいくのだなと実感しました。また昨年は、他の先生の発表を聴いていても分からない部分がたくさんありました。しかし大学での研修や自分で勉強して得た知識が増え、理解できるようになった部分も多くなり、今学会に参加し自分の成長を感じることができました。今回得た知識を今後の診療に活かしいていきたいです。

第46回 日本脊椎脊髄病学会 参加記

写真:上)季節外れの雪、下)札幌でのおいしい食事

第24回 日本腰痛学会 開催記

大場 哲郎

2016年9月2日、3日の2日間、山梨大学整形外科の主幹により第24回日本腰痛学会が開催されました。私たちは9月1日夕方の晩餐会から参加させていただきましたが、長いようであっという間の3日間でした。これまでにも本学会には何度か参加してまいりましたが、今回は主幹という主催者側から学会を体験できましたので、そこに焦点をしぼって振り返り、報告したいと思います。

学会の顔となるポスターは 波呂教授(学会会長)が1年以上前から挿絵となる富士山の写真にもこだわりながら作成されていました。メインテーマは「腰痛に対する集学的アプローチ」と定められました。そしてテーマをもとにシンポジウムや招待講演の骨組みを組み立てて、さらにそれをもとにいくつかのサブテーマに分けて演題募集を開始したのは学会の約半年前でした。その後、送られてきた抄録を査読し、内容ごとにセッションへと振り分け、発表会場やタイムテーブルを考えながらプログラムを組み立てました。

また今回は地元山梨開催でありました。学会をよりよいものとするために、学びの場としてだけでなく「おもてなし」の面からも様々な試みがありました。晩餐会では山梨県知事や山梨大学学長、山梨大学整形外科同門会会長と山梨および山梨大学整形外科医局を代表とする方達よりご挨拶いただきました。料理や飲み物なども山梨の特色を出せるものを、と事前に打ち合わせし、参加者より好評の感想をきくことができました。私にとっては、昨年江幡先生が会長として主幹された「日本低侵襲脊椎外科学会」に引き続き、主催側として学会に携わるのは2回目であり、学会の中身を作り上げていく過程、それ以外の心配りを知ることができる貴重な体験となりました。この体験を経てから他の学会に参加する際に、これまでとは違い、主催者側がどんな点に力を入れてシンポジウムやセッションなどのプログラムを組んでいるか、などの新たな視点を持つことができました。

今回、個人的に特に嬉しかった事です。入局1、2年目の先生が5題もの発表をしてくれました。この規模の学会での発表は初めての先生もいたと思いますが、皆堂々とした発表をしてくれました。準備不足で学会に臨んだ場合は、プレゼンや質疑応答にびくびくするものですが、十分に準備できた場合は逆に質問してくれた先生に感謝したくなります。個々が発表に向けて努力したことが伝わり、頼もしく感じました。また何と言っても、本学会のハイライトは田中伸樹先生の優秀ポスター賞受賞ではないでしょうか。ホームの利があったとは言え、二位に大きく差をあけて堂々の一位であったと聞いています。本研究は、高齢者脊椎手術の合併症について詳細に検討された内容でした。きっと今後は、高齢者の腰痛治療に邁進されるのだと思います。

最後に、学会運営全体を通じての感想です。本学会に参加していただいた、ある大学教授がお話しされていた言葉が印象的でした、そのまま記載させていただきます。「学会主催はめちゃ大変だけど、班を超えて医局が一丸となるのがいいんだよな。」昨年の「日本低侵襲脊椎外科学会」主催の際にも感じたことですが、同門会・関連病院の先生方、大学の脊椎班以外の先生方、秘書さん、多くの支えに深く感謝しています。

さて、2019年には、横浜で第48回脊椎脊髄病学会の主幹が決まっています。3年が過ぎるのはあっという間だと思います。本学会には日本全国はもとより、世界中から脊椎の強豪が集います。そんな学会の主幹をする山梨大学の良い印象を少しでも残せるよう日々精進したいと思います。

第24回 日本腰痛学会 開催記

第24回 日本腰痛学会 優秀ポスター賞受賞報告

田中 伸樹

このたび、皆様のご指導のおかげで2016年9月2~3日に甲府富士屋ホテルで開催されました第24回日本腰痛学会にて優秀ポスター賞を受賞することができましたので、ご報告させていただきます。

「高齢者脊椎手術の合併症についての検討」というテーマで近年増加傾向である高齢者への手術の安全性を検討した内容での発表でした。以前より山梨大学病院での脊椎手術の合併症のデータを集計しておりましたが、それを引き継ぎ2010年~2014年脊椎手術症例 549 例において年齢別の併存症、術後合併症、術後生存率を検討しました。

結局、高齢群には選択バイアスや侵襲を考慮した手術内容であったことも影響してか、重大な術後合併症や術後生存率に関して非高齢群、高齢群とで差がないと結論でありました。逆に手術適応や侵襲に考慮すれば安全に手術が行えるということも示せたと思っております。今回、かなりのご助力を頂き、このような検討、発表をさせていただいて、優秀ポスター賞という身に余る賞を頂けました。現在は、富士川病院で専ら一般整形をひっきりなしに診療・手術していますが、学術的な視野ももちつつ診療にあたることも大切かと思います。日々の診療に追われる毎日の中、不十分ではありますが、精一杯努めてまいります。ご指導いただいた方々この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。またこれからもよろしくお願いいたします。

第24回 日本腰痛学会 優秀ポスター賞受賞報告

第18回 日本低侵襲脊椎外科学会 主催報告

江幡 重人

1. はじめに
第18回日本低侵襲脊椎外科学会学術集会を2015年11月26日(木)~4月27日(金)に品川プリンスホテルにおいて開催いたしましたので報告させていただきます。2日間とも多くの参加者があり活発な議論が行われました。本学会は 1999 年日本脊椎内視鏡研究会として発足し、同年12月に帝京大学溝の口病院・出沢明会長のもと第1回総会が開催され、その後2003年に日本脊椎内視鏡低侵襲外科学会、そして2014年から名前から内視鏡がなくなり日本低侵襲脊椎外科学会と学会名を変更し、現在に至っております。日本低侵襲脊椎外科学会は、脊椎脊髄疾患領域における低侵襲手術に関する研究を促し,研究者の交流をはかるとともに研究成果と知識の公表および普及を通して安全に低侵襲手術が行われることを目的として活動しております。さらに脊椎脊髄疾患の患者ニーズにこたえるべく、低侵襲で高度かつ確実な医療を提供出来るように日整会の内視鏡講習会の運営・協力などの貢献も行っております。

第18回 日本低侵襲脊椎外科学会 主催報告

2. 開催概要
本学会のテーマは「新しいゴールデンスタンダードを確立する」とさせていただきました。内視鏡手術が本邦に導入され、20 年近くの年月が経過しております。その間に100名を超える日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医が生まれました。しかし内視鏡手術を施行する医師が増え、すそ野が広がってきてもスタンダードな手術とまでは言えません。他にも低侵襲な固定術が多数報告されていますが、術者によってその選択は様々で施設間でかなり差があるのが現状です。どうしたら低侵襲手術がもっと一般的な手術になっていくであろうかという思いを込めてこのテーマを選択いたしました。今後低侵襲手術がゴールデンスタンダードになっていくために必要なものは何かという議論を深めていきたいと考えています。そのため、シンポジウムとして“MEDをゴールデンスタンダードにするため必要なもの”(注 MED:内視鏡下腰椎椎間板摘出術)、“XLIF/OLIFはゴールデンスタンダードになりうるか”(注 LLIF:側方椎体間固定術、XLIF/OLIFはアプローチの方法)を企画し、6つの主題“内視鏡下除圧”、“腰椎開窓術の低侵襲化”、“低侵襲固定術” 、“手術支援” 、“人工骨・他家骨移植” 、“前方椎体間固定”を設けました。今回の全登録演題数は142題と過去最大であり、特別講演1題、講演9題、シンポジウム10 題、主題・一般口演101題、ポスター21題でした。今回の会場は計 3 会場であり、主に講演・シンポジウム・主題を行う第1・第 2 会場とポスター他展示会場の1会場でした。

応募いただいた演題の傾向としては、例年と比べMEDが減少し、PED(経皮的腰椎椎間板摘出術)が増加し、低侵襲固定術に関する演題が増え特にLLIFに関するものが多くなっておりました。同門からの講演発表は波呂浩孝教授に「腰椎椎間板ヘルニアの病態と新規低侵襲治療」という演題名で講演いただき、医科歯科時代に始まった研究もいよいよ臨床応用となり今までの椎間板ヘルニアの治療体系を変えてしまうのではないかという興味深い講演でした。シンポジウムXLIF/OLIFでは、大学の藤田康稚先生に「成人脊柱変形に対するXLIFの有用性に検討」という演題名でご講演いただきました。また主題で大場哲郎先生が「経皮的椎弓根スクリュー挿入におけるO-armナビゲーションの有用性」を発表していただきました。私たち脊椎班が今テーマをもって取り組んでいる分野であり、この分野では日本の最先端にいると自負しております。これらはいずれも注目を集めている分野で、活発な討論が行われていました。

第18回 日本低侵襲脊椎外科学会 主催報告

第42回 日本関節病学会・学術集会奨励賞受賞報告

小山 賢介

2014年11月6日、7日に虎の門ヒルズで行われた第 42 回日本関節病学会に参加しました。40 歳以下に応募資格のある学術集会奨励賞に応募し、奨励賞を頂きました(ちなみに賞金 5 万円)。発表したタイトルは、「生物学的製剤は関節リウマチ下肢人工関節手術の合併症に影響するか」というもので、内容は SSI、創治癒遅延、DVT、周術期疾患活動性悪化に生物学的製剤は影響しないと結論付けたものでした。山梨県の症例数では全国と比較して人口的にも少なく、山梨県立中央病院の佐久間先生にもご協力いただき多施設研究として発表させていただきました。佐久間先生ご協力ありがとうございました。

さて、せっかくの機会ですので私が普段診療の中心にさせていただいている関節リウマチについて少しお話させていただこうかと思います。レミケードが日本で使用できるようになった 2003年に整形外科医となった私、昔の関節リウマチ治療はどうにもこうにもならない・・と経験されていた先生方と違い、新世代の治療を中心に関節リウマチ治療を進めてきました。基礎研究時代に免疫学でサイトカインと出会っていたことも生物学的製剤に違和感なく入り込めた理由かもしれません。現在日本で 7 種類使用できる生物学的製剤ですが、全症例に有効ということはなく、新たなターゲットを自分が発見できる??可能性も残されています。研究テーマとしては申し分ないと思うのですが、手術したい!外傷が見たい!スポーツやりたい!という学生、研修医に「関節リウマチはどう?」とアピールできない現状もあります。話はそれましたが、現在の関節リウマチ治療は関節変形と手術だけでなく、薬剤による合併症も見なければいけない(整形外科+内科)という役割が求められます。細菌性肺炎、ニューモシスチス肺炎、アミロイドーシス、白血病、MTX 関連リンパ増殖性疾患、De novo B 型肝炎、私の外来で診断し専門科に治療をお願いしている合併症です。見逃してしまうと死に至るケースも多い合併症ですので、特に生物学的製剤を使用することのある先生方には勉強し、注意を頂ければと思っております。スポーツがやりたいと整形外科医になった当初の私ではゲロが出そうな内容だと思うので、「こんなのやりたくない!!」と思う先生方はぜひ紹介頂ければありがたいです。

第42回 日本関節病学会・学術集会奨励賞受賞報告

最後に、基礎研究の際に研究サンプルを頂くだけでなく手術の執刀までさせていただいた天野先生、整形外科専門医にもなっていないのに関節リウマチ専門外来を開始させていただいた望月先生、小川先生、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターへの留学を認めていただきました波呂教授はじめ医局員の先生方に深謝致します。今後も目の前の患者さんに少しでも恩恵があるよう診療、研究に努めていきたいと思います。

国内留学記

~山梨大学での4か月の研修を終えて~

信州大学 大場 悠己

2017 年12 月から2018 年3 月までの4 カ月間山梨大学整形外科へ国内留学をさせて頂きました、信州大学整形外科の大場悠己と申します。2016 年に脊椎脊髄病指導医になることが出来ましたが自信をもって行えない手術が複数あったため国内留学を希望しました。特に脊椎の前方手術は長野県で見る機会が少なくこれらの手術を行えるようになること、そして内視鏡手術の手技の上達を目的に研修をさせて頂きました。

内視鏡手術も決して得意ではありませんが特に脊椎前方手術については知識も不足しており不慣れで、ご迷惑をおかけしてしまうことばかりでした。しかし江幡先生に毎週水、木、金曜日にこれらの手術の研修を徹底的にさせて頂き、さらに術前カンファレンスや学会を通して手術の危険性や合併症、ポイントについて沢山のご指導を頂きました。ご指導頂いた手術に関しても術後に何が問題点で、もっと上手になるためにどうしたらよいかを優しくご指導頂きました。今では苦手だった脊椎前方手術と内視鏡手術も少しだけ自信をもって行うことが出来るようになりそうです。

~山梨大学での4か月の研修を終えて~ 信州大学 大場 悠己

空いている時間には論文の書き方のご指導を頂きました。実際に論文作成に便利ないくつかのSoft をPC に入れて頂きPC が重装備になりました。練習を兼ねて研修中に7 つの論文作成に携わることができ、そのうち4 つはFirst author を担当させて頂きSpine に投稿することが出来ました。書き方のコツやルール、投稿方法、投稿先などを一つ一つご指導頂き、他には代え難い貴重な知識を得ることが出来ました。

思い入れのある研究の計測データがそろった時には脊椎班全スタッフで臨時リサーチミーティングを開いて頂き研究の戦略を一緒に練って頂きましたことが楽しい思い出として残っております。

このような素晴らしい研修の機会を与えて下さいました波呂教授、江幡准教授をはじめとした先生方に感謝をしております。4 か月間、温かいご指導を本当にありがとうございました。こんなに充実した研修を受けることが出来るとは、ここに来るまでは全く予想しておりませんでした。ただ留学先で『経験してきた』だけでなく本当に自分でやっていけると思えるまで繰り返し繰り返しご指導を頂いたこと、何が私の将来のためになるか真剣に考えて頂いたこと、そのために沢山のお時間を割いて頂いたこと、言葉では言い表せないくらい感謝しております。

4 月からは信州大学脊椎班に戻る予定です。私の研修中に後輩の脊椎外科医達がチームに加わっており、いよいよ後輩を教える立場にもなったと緊張しております。ここで受けた温かいご指導を私だけでなく信州の皆に伝えるために責任と自覚をもって日々精進していきたいと存じます。今後とも、よろしくご指導くださいますよう、お願い申し上げます。

末筆ではございますが、山梨大学の皆様の一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます。