第20回 山梨大学 整形外科セミナー

2020年11月21日、第20回整形外科セミナー

2020年11月21日に第20回整形外科セミナー「テーマ:整形外科の最新知見と治療法」が甲府アピオ本館で開催されました。今回は富山大学整形外科教授の川口善治先生、早稲田大学スポーツ科学学術院教授の熊井司先生、産業医科大学整形外科学教授の酒井昭典先生を講師にお招きいたしました。コロナ禍のなか、検温、ソーシャルディスタンスの確保、アルコール消毒を確実に行い運営されておりました。お手伝いいただいた先生方、本当にありがとうございました。

川口先生には「脊柱靱帯骨化症~明らかにしてきた知見と今後のアプローチ~」の演題で御講演いただきました。脊柱靱帯骨化症(OPLL)の原因、病態を説明する様々なデータを示していただきました。頸椎のみのOPLLよりも胸椎、腰椎にも骨化のあるmultipleの病態が50%以上あり、この群には女性の割合が多い傾向にあることもお話しいただきました。また、治療について、特に手術についてお話しいただきました。フォロー期間が20年以上の症例の治療について検討し報告された論文についても紹介いただきました。

熊井先生には「ランニングによる足の痛み」の演題で御講演いただきました。最初に年代別のスポーツ参加率、ランニング参加率を示していただきました。若い世代と、70歳以上に高く、30-60の仕事世代は低い結果でありました。ランニング時の着地には5倍程度の重力がかかりOAなどの原因となること、またメカニズムとしての足の着地についてわかりやすく説明していただきました。踵接地は下腿、膝、股関節に負担をかけエネルギーロスもあり、現在は前足部・中足部接地が一般的であるが、踵アーチに負担がかかり足底筋膜炎、アキレス腱周囲炎の原因ともなるとのことでした。最後に、踵周囲の圧痛点による診断とESWTによる治療について説明していただきました。

酒井先生からは「手の外傷治療のピットフォール―骨粗鬆症性骨折の治療とその後の薬物治療を含む―」の演題で御講演いただきました。幅広く、わかりやすく、手の外傷ピットフォールについて数多く教えていただけました。高圧注入損傷の予後を規定するのは、注入された薬剤と手術までの時間であり、受傷後12時間以上たつと切断例も多くなる。MP背側部の損傷は現病歴に惑わされずヒト咬傷も疑う。Openにしないと整復できないKaplan脱臼について。きれいなXP側面像を撮らないとわかりにくい月状骨脱臼/月状骨周囲脱臼。Scafoid/Lunate die-punch骨折。など非常に勉強になりました。

コロナ禍の中、御多忙の中、山梨までお越しいただき、御講演くださった講師の先生方には本当に感謝したいと思います。共催いただきました、山梨大学整形外科セミナー、山梨県病院薬剤師会、塩野義製薬株式会社、第一三共株式会社、帝人ヘルスケア株式会社、および当日お手伝いを頂いた先生方にはあらためて感謝申し上げます。

 次回は 2021年5月8日に第21回整形外科セミナーを開催予定 です(場所:未定)。皆様、お忙しいと思いますがご参加・ご協力のほどよろしくお願いいたします。