5月8日に第21回整形外科セミナーが開催されました。

 2021年5月8日に第21回整形外科セミナー「テーマ:整形外科の未来」が甲府アピオ本館で開催されました。今回は:山口大学整形外科学教授の坂井孝司先生、名古屋市立大学整形外科学教授の村上英樹先生、金沢大学整形外科学教授の土屋弘行先生を講師にお招きしました。コロナ禍のなか、検温、ソーシャルディスタンスの確保、アルコール消毒を確実に行ったうえで開催させていただきました。お手伝いいただいた先生方、本当にありがとうございました。

坂井先生には「股関節手術におけるコンピューター支援技術の臨床応用」の演題で御講演いただきました。コンピューター支援技術(CAOS)がどのように股関節手術に寄与するかを詳しく、分かりやすく解説していただきました。理想的かつ正確な骨切り術、インプラントの設置のためのCT baseの術前評価およびシミュレーションの重要性、有用性が理解できました。次にロボット手術(MAKOのシステム)について実際の手術動画とともに解説していただきました。カップ設置の正確度についてはマニュアルよりもCT navigationの方がいいことは想像できましたが、ロボット手術(MAKOのシステム)はnavigationに比較してもはるかに正確性が増していることに驚きました。

村上先生には「腫瘍脊椎骨全摘術の進歩」の演題で御講演いただきました。始めに、医療の発展ともにがんサバイバーの増加していること、それに伴い骨転移患者さんが急増していることについてお話しされました。村上先生は転移性脊椎腫瘍の根治治療である腫瘍脊椎骨全的術(TES)の世界の第一人者であり、多くの症例とともに主に手術の適応について解説していただきました。腎癌、甲状腺癌は放射線が効きにくく、これらの癌の脊椎転移に対してTESは非常に良い適応であり、実際に村上先生がされたTES症例の5年生存率は世界中の他施設と比較にならないほど素晴らしいものでした。最後に次世代TESとして、腫瘍骨を凍結して戻すことによってがん免疫を賦活化させる治療法の有用性をお話しいただきました。

土屋先生からは「骨軟部組織再建術の現状と未来に向けたメッセージ」の演題でZOOMにて御講演いただきました。生物学的再建術と腫瘍用人工関節による再建術を基礎的なところから詳しく教えていただきました。数多くの骨肉腫の手術および術後再建術症例を御提示いただきました。特に、液体窒素による腫瘍部を処理骨として使用する再建術について詳しく説明していただきました。術後のADLとして各症例とも走ったり、サッカーしたりととても素晴らしいと感じました。今後の再建術の未来として、脂肪由来幹細胞を様々な組織に分化させてから再生医療に応用する可能性についてもお話しいただきました。

コロナ禍の中、御多忙の中、山梨までお越しいただき、またZoomで御講演くださった講師の先生方には本当に感謝申し上げます。共催いただきました、山梨大学整形外科セミナー、山梨県病院薬剤師会、田辺三菱製薬株式会社、中外製薬株式会社、大正製薬株式会社、および当日お手伝いをいただいた先生方にはあらためて感謝申し上げます。

 次回は 2021年11月27日に第22回整形外科セミナーを開催予定 です(場所:未定)。皆様、お忙しいと思いますがご参加・ご協力のほどよろしくお願いいたします。